東山魁夷生誕100周年
今年は東山魁夷の生誕100周年です。
記念の展覧会が近代美術館で開かれていた時は行けなかったので
長野にある、東山魁夷館まで見に行ってきました。
中に入ってすぐにお気に入りの絵に再会しました。
「月宵」
という初期の作品です。
初めて見た時は中学生でした。
混んでざわざわとした空気を一瞬で別世界に連れて行ってくれた作品でした。
絵から音が聞こえてきたんです。
水に石を投げ入れたかのような音がして
まるで、水の中に自分がいて水に沈んでしまった景色を見ているかのようでした。
久しぶりの再会になんだか嬉しくなりました…
「残照」
は、とても有名な作品です。
その良さを昔は感じ取れませんでしたが、
今日はこの絵が持つ奥深さにしばし時を忘れました。
大きなキャンバスに幾重にも重なる山々
遠くの一際高い山にだけ、今日の最後の太陽の光が名残惜しそうに当たっています。
この、手前の山々の、時を越えた静けさに
永遠のような時間の積み重ねに
圧倒される自分がいました。
それはまるで山々の祈りそのものでした…
「唐招提寺襖絵」
10年の歳月をかけた大作です。
この絵が持つ日本の風景の美しさと
中国の鑑真和上さまの故郷の景色の暖かさに触れて
言葉にならない感動をおぼえます。
それに呼応するように和上さまのお人柄と崇高な精神を感じ
深い感謝の気持ちでいっぱいになりました。
東山魁夷の素晴らしさはなんといっても
景色を通す心のフィルターの美しさにあると私は感じます。
普通の人のフィルターを通した絵は
そこに人間の我や業が現れてしまいがちですが
東山魁夷にはまったくありません。
もはや人間を越えています。
私達が目をこらしても見えないものが
見えていたのだと思います…。
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